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文系OLから建築士に転身した「りんちゅん」と その相棒コザクラインコの「ちょび」が 鳥、建築、音楽など、あらゆる生活のシーンを 独自の視点でコメントしています
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2024/03/19 (Tue)
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2008/06/19 (Thu)
11時半過ぎ、下痢のような腹痛に襲われる。

嗚呼、思い出した。
昔から便秘で浣腸すると、翌日まる一日は食べたものが次々と超特急で下って
いくんだった。

昨夜、分娩時に人前でうんちを出したりしないように、便秘を装って浣腸してしまった。

ナースコールでお腹のモニターを外してもらい、トイレへ。
案の定、下痢。
陣痛と下痢と相変わらずジャーっと出てくる羊水で不快極まりない。
羊水はなくなってしまわないのだろうか。
赤ちゃんは元気だというけど。

トイレから出ると、姉がすごく不機嫌そうな顔で立っていた。

出産に際し、母が来てくれると言っていたのだが、母が来ると、最近足腰がすっかり弱って
危うくて一人にしておけない(父も同行し、そうして家を空けるとなると、飼い犬のダルメシアン
のパールまで一緒についてくることになるので、やんわりと断り、長期化するようなら
来てもらうということにしていた。
(気楽に一人で生むような口ぶりだが、そんなに簡単に子供が生めると思うな、とクギを指された。)
(確かに、気楽に一人で生めると思っていた。)
その代わり、とりあえず最初は京都に住む姉に来てもらうことにしていたのだった。

何故、姉がそんなに不機嫌な顔で立っていたのか。
ナースセンターで私を訪ねて来たが病室はどこかときいたところ、
「お母さんですか?」と言われたらしい。
3歳違いの姉だが、私が39歳の高齢出産なんだから、40過ぎの姉が
家族として来たら、そりゃ微妙なところだろう。
看護師だって、まず来る家族は母親だろうと思うし、妊婦がものすごく若い場合には
40代の若作りの母親だってありえないこともない。
でも姉はそれがとんでもなく気に入らなかったらしく「姉です!」と訂正して
トイレに入っている私を仏頂面で待っていたらしい。

その話を聞いて、私は痛みを忘れて笑いながらも、看護師も悪気ないから、と
フォローしたりしていた。
姉は出産経験者、私が痛みに襲われる度、効果的に強く腰を押してくれた。
でもすごく強く押さないといけないので続かない。
夫と交代で押してくれた。

12時になり、お昼ごはんが運ばれてきた。
よりによってホカホカの中華。麻婆豆腐のもわっとしたにおいが吐き気を誘う。
おまけに姉が、駅で551蓬莱のぶたまんを買ってきたという。
何故こんなときにぶたまん?
気持ち悪いから、2人で早く食べちゃって!
半ば怒りながら言う。

助産婦が様子を見に来てくれる。
「いい陣痛がついてきましたね!」
いい陣痛?そんな悠長なもんなのか。
「この調子だと早くて夕方には生まれるかな?」
「ええっ、夕方ぁ~っ!?」
思わず大きな声で聞き返してしまった。
こんなもん、夕方まで耐えられるかいっ!
しかも早くてぇ?
「イヤです、こんなのあと6時間も無理ですよぉ!」
本当に心の底から途方に暮れつつも、半分怒りにも似た感情が
押さえられなかった。
帝王切開にしてもらおうと心に決めた。
問題はいつのタイミングでお願いするかだ。

つきっぱなしのテレビが、笑っていいともからごきげんように変わった。
ああ、ごきげんようはキライだからテレビを消してほしい・・・。
そう言おうと思った矢先、また下痢の痛みが。
いかん、間に合わん!
ナースコールをガンガン押すが、看護師が遅い。
もう点滴もお腹のモニターもひきずったままトイレに行ってやる!!

姉と夫が制止するのを振り切って部屋を出て行こうとすると看護師が
来てくれたが、待てといって、助産婦を呼びに行ってしまう。
あかんって、もう限界やってば!

点滴とモニターをずるずる引きずってトイレに向かおうとすると
助産婦と看護師がどっと詰め掛けてきて、私をLDRに連れ込んでいった。
ちょっとやめて、下痢なんだってば!

分娩台になるベッドにあげられ、慌しく出産の準備が始まる。
子宮口は9センチ、とか聞こえるが、私は下痢で頭がいっぱい。

「お腹痛いんです、下痢なんです!」
必死の訴えに、はいはい、と返事されたものの、もう限界。
あーあ、やっちゃった。

大丈夫ですよ、よくあることですよ。
そう言いながらも、陣痛に襲われる度に下痢ってしまうので
一体、どんだけ出てくるんだ?とひるんでいるのは見て取れる。
ごめんなさい、助産婦さん。
便秘でもないのに浣腸をオーダーしたんです。

立会いに夫が割烹着みたいなのを着せられて入って来た。
一眼レフのデジカメと先日買ったばかりのムービーを手にしている。
そのうち、姉も入れてもらって来たようだ。

私は30秒おきくらいに、ぐーーーーっと陣痛に襲われ、
また下痢に似た痛みで押し出してしまいたくなるが、
助産婦さんが会陰という肛門の近くをぐーっと押してくれるので
痛みを逃しやすくなっていた。

「先生呼んできますか?」という看護師の問いかけが何度もあり、
とうとう「全開ですから呼びましょう」と言われる。
あー、先生が来るんだー、と思っていると、ベッドの足元がはずれ、
足を乗せる台が出現。普段内診のときのイスに似た形になる。

足を乗せろとか、指示されてやっている間に、あれ?って感じで陣痛の
痛みを忘れていた。
台風の目みたいに痛みの空白が。
「もういきんでいいですよ~」と言われる。

そういわれても、さっきまでみたいに、痛くてきばって押し出したい感じでもなく、
どうしたもんかなぁ、と空を見つめる。
なんとなく、押し出してみようか、という気分になり、んーーーーーーっと
便秘の時みたいにきばってみると
「そうそう、その調子!・・・・すごい○○力・・・。」と言われる。
○○力、の部分がよく聞き取れなかったが、押し出しの力がすごいという
ことなんだろう。
これでいいなら、やっちゃうよ?
でもちょっと腹筋いるから休んで準備してからね、と思う。
次に「うーーーーーん」ときばってみると、誉められるが、力を入れている間、
モニターの胎児の心音が止まるので、「息を止めないで、赤ちゃんが苦しいから」
と注意される。

難しいこと言うよなー、と思いつつ、もう一度休んで呼吸を整えてから、兆戦して
みようかと思う。あれ、意外と冷静。こんなもんなの?

その間にも、夫は、何か撮っておかないと自分のやることがない、とばかりに
うーーーん、といきむ私の姿を枕元で写真に撮ったりしていた。
看護師に「そんな苦しい顔を撮らないで、生まれて幸せなところを撮ってあげて
ください。」と注意されている。
心の中でバカウケしていた。

呼吸を止めないように整えてうーーーーん、と思いっきりきばると(このあたりで、
「あ、これがいきむってことなのね」と理解する。)
薄い膜が伸びきって、これ以上伸びないよ、という感覚がある。
こりゃ出ないわ。帝王切開にして、って言おうかな。

そう思っていると、いつの間にか先生が来ていて、
「少し切らないといけないみたいですよ。切りますよ。」と言ってきた。
ああ、会陰切開ってやつだな、みんな嫌がってるよな、と思いながらも、
そりゃ、切らなきゃ出ないでしょ、と思った。
切っているようだったが、よく分からなかった。

もういきまなくていいです!と止められる。
え?なんで?もういっちょやりますよ?
そう思ってると発露だとか聞こえてきて、短く息をするように指示される。
はっ、はっ、はっ、と素直に忠実に指示に従うと、
ごぼっとつかえが取れたような感じがして、
「生まれましたよ」と声をかけられ、「おぎゃー」と聞こえてきた。

え?生まれた?
あっけないような、不思議な感覚。
これで終わり?もういいの?
14時頃だった。

痛みが本格化してから約3時間。
確かに痛かったけど、痛みのこらえ方が分からなくて困ったのであって、
痛くて耐えられない、という感じとは違ったような。
陣痛促進剤のせいで、急に産気づいて出産に至ったようで、
これは安産と言うのでしょう。

夫は感激した声で喜んでいるし、姉は声を詰まらせて涙ぐんでいる様子。
私だけが感動の波に乗り遅れてしまった。
赤ちゃんが体を拭いて、体重と慎重を計って戻ってきて、
私の横に置かれた。
「細い」
手足が手羽先のようであまり肉がついてないぞ?
私は生まれたばかりの赤ちゃんなんて見たことないし、
妊娠中の4Dモニターではほっぺがブクブクの画像だったので、
4000グラム超えの巨大でぶでぶ児に違いないと、半ば覚悟していたのだ。
そうでなくても、赤ちゃんっていうのはぷくぷくに太っているものだと思っていた。
3380グラムらしい。
良かった。4000超えなかった。

髪の毛が真っ黒で多くて、目をぱっちり見開いていて、私の面影は全くない。
私にはぜんぜん似ていない。なんで?
先生も看護師も「お父さんそっくり」という。
姉が「かわいいーー!!」と言っているのが聞こえる。

どうしよう、もっと感動の対面で、泣いてしまうと思っていたのに。

でもよかった。
無事に生まれた。
帝王切開のリクエストは出しそびれたが、ちゃんと産めたじゃないか。
39歳の高齢出産だって、元気な赤ちゃんが超安産で生まれた。

私の妊娠ライフが終わり、
赤ちゃんの人生が始まった。

でも全く産んだ実感も、自分の子だという自覚もない私でした。






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無題
えっ。はやっ。いい病院だったのね。とにかくおめでとう!!

39の初産で、4000グラム超えだったら帝王切開だと思われ・・・
あ、小さい頃から友達なんだけど、自然分娩でいきましょうって言われて、頭は出たけど肩が引っかかって、緊急手術で帝王切開になって、危なかった子がいた。
先生が計測間違えたのが原因なのに、実のお母さんに「根性なし」って言われて凹んでたよ。
それにおへその下がザックリキズになってて、旅行に出かけても、10年ぐらい私とお風呂に入るのいやだって言ってたの。
だから、帝王切開じゃなくて良かったんだよ。
noharm URL 2008/09/14(Sun)22:19:58 編集
最近・・・
妊婦がたらいまわしで死んじゃったって話時々聞くよね・・・
東京で、ちゃんとかかりつけがいるのに、緊急時の受け入れ先がなくて、死んじゃった話をニュースで見てって怖いと思った。
noharm URL 2008/10/29(Wed)18:41:52 編集
Re:最近・・・
ものすんごい遅いレス、すんません・・・。

全然検診も行ってないなら、医師や病院側としてもリスクが高すぎて
対応できないのも少しは理解できるけど、ちゃんとかかりつけ医が
いるのに、受け入れ先がなくて、というのは怖いよね。

検診に行ってない、というのも少しは理解できるようになりました。

だってね、ウチはありがたいことにそんなに暮らしが苦しい訳じゃないけど
月1回、妊娠7ヶ月からは月2回、出産直前には毎週の検診で、
毎回5千円前後取られるのは正直辛い。
ちょっと血液検査とかあるとすぐに2万円し。
翌年の確定申告で医療控除を申請すれば少しは戻ってくるとはいえ、
こんなの、収入が少ない家庭だと立て替えておくのも大変、大打撃だと思う。

市の補助で何回かは無料になるケースもあるけど、あれも所得制限が
あるから、全員が受けれる訳じゃないしね。

せめて、「妊娠、出産は病気じゃないから健康保険の対象外で自費」って
いうのを見直して金銭的負担を軽くしないと、子供産むのにこんなにお金が
かかってちゃ、少子化も止まらないし飛び込み出産による弊害も少なく
ならないんじゃないかと思います。

【2008/12/27 20:24 りんちゅん&ちょび 】
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